ゆけッ! やっせんぼ・とよちゃん!
Suunto T6 積算運動強度解析プログラム (2010年06月27日)
インデックス
はじめに
最近サイクリングデータの集計をしていてフッと気が付きました・・・あれ、積算運動強度を計算させるソフトはまだ公開していないよねぇ・・・と。 2003年にPolar用に基本的な開発をやって、少しずつ改良しながら 2007年に Suunto T6 用に移植しました。 今ではバグも殆ど無くなったし、公開しても良いかなと思ったのです。
Suunto T6 用ですので、ごく限られた人にしか役に立たないと思いますが、ソフトの経験がある人なら Polar用にも簡単に移植できると思います。
使い方
起動方法
このプログラムは Tcl/Tk で記述されています。 実行するには Tcl/Tk のインタープリタが必要です。 私が使っているのは Active State 社 の Active Tcl です。 実質業界標準であり、無料でダウンロードすることが出来ますので、Active Tcl を使うことをお勧めします。 他のTcl/Tk だと正しく動作しない可能性がありますが、その場合 すみません勘弁してください。m(__)m
このプログラムは、起動時に 設定ファイル SuuntoT6.ini を読み込みます。 設定ファイルは このプログラムと同じディレクトリにあるものとみなされます。 設定ファイルがない場合、プログラム内に記述されているディフォルトデータを基に計算が行われます。
一番最初に起動した場合、後述の方法に従って、自分のトレーニングゾーン情報と個人情報を設定してください。 設定ファイルはテキストファイルであり、エディタ等で直接変更することも可能です。 変更方法については 後述の設定ファイルの変更方法を参照してください。
プログラムを起動すると 直ちにファイル選択ウインドウが現れます。 ここで、別途保存した Suunto T6 の記録データファイル(.sdf)を選択してください。 データの解析後、以下の基本画面が表示されます。
基本画面
基本画面は右図のようになります。 画面は、操作ボタン、トレーニング基本情報、Heart Rate In-Zone Information、Heart Rate Transition グラフ の4つの部分で構成されています。
一番上段には 操作ボタンが並んでいます。 説明は要らないと思いますが、最初の「QUIT」ボタンは、プログラムを終了します。
「OPEN」ボタンは、Suunto T6 の記録データファイル(.sdf)を読み込みます。 このソフトを起動すると 真っ先に Suunto T6 の記録データファイル(.sdf)を読み込むようにファイル選択ウインドウが現れるのですが、このボタンは一度起動した後 他のデータを読み込みたい場合に使用するものです。
「ZONE SETTING」ボタンは、トレーニングゾーンとその属性を変更するためのボタンです。 詳細は、後述のトレーニングゾーン情報の変更方法を参照してください。
「PERSONAL INFO. SETTING」ボタンは、個人情報を変更するためのボタンです。 個人情報と言っても住所や氏名ではなく 基本的に計算に必要な心拍数情報です。 詳細は、後述の個人情報の変更方法を参照してください。
「SAVE IMAGE」ボタンは、Heart Rate Transition グラフ画像を保存するためのボタンです。 後述のインストール方法で詳細を説明しますが、このボタンを使うためには Tcl/Tkインタープリタの他に ImageMagic と Gohstscript が必要になります。 グラフ画像を保存する必要が無い場合は、ImageMagic と Gohstscript は必要ありません。
操作ボタンの下には、トレーニング基本情報が表示されます。 これらの情報は、基本的に Suunto T6 の記録データファイル(.sdf)から読み込んだ情報です。 ただし、一番下の Calolie については、個人情報を基に計算された値が表示され、Suunto T6 の記録データファイル(.sdf)からの値は (xxx) 内に表示されます。
トレーニング基本情報の下には、左側に Heart Rate In-Zone Information、右側に Heart Rate Transition グラフが表示されます。
Heart Rate In-Zone Information には、Intensity of Training と Cumulative Intensity とその下にゾーン毎のトレーニングデータが表示されます。 ゾーン毎のトレーニングデータは、左から トレーニングゾーン番号、In-Duration、ゾーン毎の積算運動強度 が表示されます。
Intensity of Training は、読み込んだトレーニングデータにおいて どのゾーンが一番強度の高いトレーニングゾーンだったかを示します。 Cumulative Intensity は、トレーニング全体の積算運動強度を示します。 In-Duration は、トレーニング中 心拍数がそれぞれのゾーンにどれだけの時間入っていたかを示します。 ゾーン毎の積算運動強度は、それぞれのゾーンでどれだけのトレーニングを行ったかの指標になります。
Heart Rate Transition グラフには、心拍数の遷移(黒線)、走行速度(青点)、Maximum Aerobic Function (MAF) (黄点) がプロットされます。 MAF は、有酸素運動で行うことの出来る最高速度を表しており、心拍情報と走行速度から計算されます。 MAF は、Anaerobic Threshold (AT) 心拍数で継続走行できる速度に相当し、どれくらい速く走れるか、またはどれくらいフィットしているかの指標の一つになります。 MAFは、理論的には一定になるはずですが、グラフ中では走行状況(風向き、上り、下り、加速時、減速時等)によってダイナミックに変化します。 しかし、グラフ全体の平均を見ることによって 大体の傾向を推測することが可能です。
トレーニングゾーン情報の変更方法
「ZONE SETTING」ボタンを押すと 右の様なウインドウが表示されます。 まずは、最上段の ZONE #0 から #6 までに表示されている トレーニングゾーンの設定項目です。 トレーニングゾーンは、それぞれのゾーンの最高心拍数 MAX HR で定義されます。 ゾーンの域は、一つ下のゾーンの最高心拍数から そのゾーンの最高心拍数になります。 例えば、右図の ZONE #3 については、その一つ下の ZONE #2 の最高心拍数が 150bpm なので、150-160bpmの範囲になります。 心拍数が一番低いゾーン(画面の一番上のゾーン) ZONE #0 については、個人情報で設定した 安静時心拍数 (Rest HR) から ZONE #0 に設定した心拍域がゾーンになります。 自分の心拍数に合ったトレーニングゾーンを適当に設定してください。
トレーニングゾーンには、TIME の項目もあり、単位は「分」で設定します。 これは、読み込んだトレーニングデータにおいて どのトレーニングゾーンが一番強度の高いゾーンだったかを決めるための情報です。 結果は、Intensity of Training になります。 どのくらいの数値を設定するかについては、有酸素ゾーンでは10分以上、心拍数が小さくなるにつれて 大きな数値を設定してください。 ATからAT+10bpm くらいのゾーン(レッドゾーン)については 5分程度、それ以上から最大心拍数までのゾーン(ディープレッドゾーン)については1-3分くらいが良いと思います。 普段自分がどのようなトレーニングを主に行っているかによって 適当に設定してください。
トレーニングゾーンの項目の一番右は COLOR です。 Heart Rate Transition グラフにおいて、それぞれのゾーンをどの色で表示するかを設定します。
トレーニングゾーンの設定項目の下に Cumulative Intensity Factor があります。 これは、積算運動強度を計算する時に使用される係数で、AT心拍数で1時間走った時の数値に相当します。 単なる係数ですから、1でも100でもかまいません。 単純に算出される積算運動強度の値がその倍数変化するだけです。 10程度が適当と思いますが、自分の好みで変更してください。
その下の Cumulative Intensity Index は、積算運動強度を計算するための 指数 であり、経験的に割り出したものです。 詳細は積算運動強度の記事を参照してください。 特に変更する必要は無いと思いますが、自分の経験や感じ方と差がある場合、適当な数値に変更してください。 この値を大きくすると、心拍数のより高い域でのトレーニングゾーンの積算運動強度がより大きく算出されます。
トレーニングゾーンの追加方法
ディフォルトの設定では トレーニングゾーンの数は 7 になっています。 これは単に私の好みであり、自由に増やしたり減らしたりすることが可能です。 ただし、プログラムのトレーニングゾーン情報の変更画面からは変更できず、直接設定ファイル SuuntoT6.ini を変更する必要があります。 後述の設定ファイルの変更方法を参照してください。 ゾーンの数に制限はありませので、自分のトレーニングに合った数に設定してください。
個人情報の変更方法
「ZONE SETTING」ボタンを押すと 右の様なウインドウが表示されます。 Anaerobic Threshold (AT) HR は、無酸素運動域の下限の心拍数(または有素運動域の上限の心拍数)です。 自分の経験値または計測値を設定してください。
Rest HR は、安静時の心拍数です。 覚醒時の最低心拍数を計測し設定してください。 この値は、フィットしているかしていないか、頻繁にトレーニングしているかそうでないか等、トレーニングの状態によって変化すると共に 計測時間によっても変化します。 理想的には、トレーニングを行わなかった日の日中に安静な状態で計測するのが良いと言われています。
Calolie Calculation Factor は、消費カロリーを計算するために参照される値であり、トレーニング基本情報の中の Calolie の項目に反映します。 この値は、AT心拍数で1時間走った時にサイクリングに消費されるカロリー数に相当します。 基本代謝は含まれていません。 自分に合った数値を設定してください。 算出方法は、
C = 0.86 * {17 * (VMAF - 30) + 150}
で概算できます。 ただし、VMAFは、上にも書いた MAF であり、また AT心拍数での維持走行速度でもあります。 ただし、この式で算出した値は思っているよりかなり小さくなります。 ショックを受けないでください。(爆) 上の図では850が設定されていますが、実際の私の数値は250程度です。 Suunto T6 が算出するカロリー数に合わせるために 850を設定しています。 好みに合わせて 適当な値を設定してください。
因みに、上記数式は
として消費カロリーを算出するようにしたものです。
設定ファイルの変更方法
設定ファイル SuuntoT6.ini は単純なテキストファイルであり、内容は以下のようになっています。
170 50 850.0 10.0 3.5 130 1.0 #aaaaaa 140 30.0 #c0ffff 150 20.0 #c0ffc0 160 10.0 #ffffc0 170 7.0 #ffc080 180 5.0 #ff8040 200 2.0 #ff0000
個人情報とトレーニングゾーン情報の設定項目がそのまま入っているのが分かると思います。 念のため書いておくと、上から
Anaerobic Threshold HR
Rest HR
Calolie Calculation Factor
Cumulative Intensity Factor
Cumulative Intensity Index
Zone #0 MAX HR, TIME, COLOR
:
:
Zone #6 MAX HR, TIME, COLOR
となります。
このファイルを直接エディタ等で変更することも可能です。 ただし、空行(改行のみの行)は入れないでください。 コメント行も無しです。
インストール方法
適当なディレクトリに SuuntoT6.tcl、SuuntoT6.ini、HiroUtils.tcl の3つのファイルを保存してください。 他の設定は一切必要ありません。 SuuntoT6.tcl を[ダブルクリック]すれば、Tcl/Tk インタープリタが起動され プログラムが動作します。
Suunto T6 の記録データファイル(.sdf)と同じディレクトリに保存するのが便利だと思います。
上にも書いたように Tcl/Tk インタープリタには Active State 社 の Active Tcl を推奨します。 てか、これを使ってください。(爆)
SAVE IMAGE の項目のところでも書きましたが、Heart Rate Transition グラフ画像を保存するには ImageMagic と Gohstscript が必要です。 これは、Heart Rate Transition グラフ画像の保存は 一旦ポストスクリプトファイル(.eps)で行われ、そのファイルを ImageMagic を使って GIF、JPEG、BMP他のフォーマットに変換しているためです。 Gohstscript は、ImageMagic がポストスクリプトのフォントを展開するときに必要とします。
ImageMagic と Gohstscript は、以下の場所等から取得できます。
ダウンロード